えっ、幼稚園で子どもがタブレットを使っているってほんと?!
令和3年度から幼稚園もマッチングプロジェクトに取り組んでいます。本プロジェクトでは、5歳児(年長児)の学級に、園児がいつでも使える道具の一つとして、一学級に4台のタブレットを置いています。実践園の一つ、鳴子幼稚園で6月22日に保育が公開されました。
朝、鳴子幼稚園に到着すると、園児は保育室や遊戯室いっぱいに遊びの場を広げていました。前日からの遊びの続きをしているようです。
保育室では、七夕飾りをつくる園児がいました。折り紙で何かつくっているようです。近づいてみると、タブレットで動画を見ながら折っています。難しいところは、繰り返し動画を再生して見返したり、一時停止したりして、何とか折ろうとしていました(写真①)。
↑①折り紙で七夕飾りを折る園児
遊戯室では、自分たちが好きな曲を選んでタブレットで流し、曲に合わせてリボン棒を振りながら踊っていました(写真②)。その横には、園児が積み木を並べてつくったバトル場がありました。二人の園児が空き箱でつくった怪獣とロボットを戦わせ、その様子をもう一人の園児がタブレットで撮影していました。撮影を終えると、担任の先生が「どんな風に撮れたかな」と園児の思いを受けてスクリーンに投影してくれました(写真③)。
↑②リボンを置いて、次の曲を選ぶ園児
↑③撮影した映像を見る園児
隣の保育室では、お店屋さんごっこが始まっていました。おいしそうなごちそうなので、どのようにつくったのかを園児に尋ねてみると、タブレットで写真を見ながらつくったとのこと。広告を見本にするのと違いタブレットに映る写真は大きく引き伸ばして見ることができるので、質感や巻き寿司の具も具体的にイメージができるようです。そのため、つくりたいものにぴったりの素材を自分で選んでつくることができます。どれも園児がつくったとは思えない完成度の高さでした(写真④)。
↑④園児がつくった「お寿司」おいしそう!
蝶のさなぎを見つけた園児が、持っていたタブレットで写真を撮って先生に報告に来ると、先生は、教員用のタブレットを取り出し、園児の使用する制限のかかったタブレットから、エアドロップで情報をつなげ、保育室に置いてあるプリンターですぐに印刷して渡していました。それをもらった園児はとても嬉しそうでした。廊下に掲示してある「観察日記」は、園児が発見した写真でいっぱいでした。
先生方に聞いてみました!
マッチングプロジェクト実践園では、園児ひとりに1台のタブレットがあるのではありません。鳴子幼稚園では5歳児の学級に4台ずつ導入されており、園児が使う台数は、園児の遊びや時期に合わせて先生たちが相談して決めているそうです。少ない台数をみんなで使ううちにどうしたらみんなが気持ちよくタブレットを使うことができるかを考えるようになり、譲り合う姿が見られたり、園児自身の必要感の中で使い方の約束が生まれたりしてきたと聞きました。また、担任の先生の目が届く範囲での活用であると感じました。
先生方は「子どもたちが、いろいろな間違った使い方をしてしまうのではないかと不安になるが、厳しく制限はしていない。自由に触らせてもらえるという満足感が、自分たちでちゃんと考えなければいけないという責任感にもつながっていると感じている。例えば、自分の調べたいこと以外の動画が出てきたら、園児同士で声を掛け合って続きを見るのをやめるなど、自発的に制限をする行動も見られた。マナーやリテラシーも少しずつ身に付いていると感じる。」と話していました。
さらに、「まだまだ、操作に夢中になりすぎて時間を忘れてしまったり、調べたいことから脱線して他の画像を見てしまったりと、遊びや活動が途切れることもあるが、複数の先生方と連携しながら自主性を高められるよう見守り、より正しいルールを学び合っていきたい。」と話していました。
業務軽減かつタイムリーに成長を共有する「保育ドキュメンテーション」
幼稚園で欠かせないのは、園児の成長を保護者と共有し、喜び合うことです。毎日の業務の中で園児の様子をメモに書き留め、情報を整理し、お便りを作って発行するのは大変な作業となります。
ICTの活用を始めたことで、日々の園児の様子を、写真・動画・メモ等タブレットに簡単に残すことができ、それを保育活動記録の見える化や園児自身が活動を振り返りに活用できるようになりました。さらに、その内容を保護者へ紹介し、スマートフォン等の端末へ配信することもでき、先生方の業務が大きく軽減されていました。
↑コドモン「活動の記録」配信のお知らせ
幼稚園入口に設置してあるデジタルサイネージも今後さらに活用されていくことで、園児と保護者と先生方の三者で園児の姿を共有する場面が一層増えていくだろうと感じました。
↑デジタルサイネージ