NAGOYO School Innovation

名古屋市立八幡中学校

活動の記録

生徒が主体となってテーマを決めて、探究的な学びを進める授業

2022.07.05

 八幡中学校では、昨年度から「生徒の学び方と教員の働き方を楽しくする、ICTを最大限に生かした学校づくり」「多様な仲間と協同し、自分たちの手で学校を楽しくする、生徒が参画する学校づくり」の2つをテーマに掲げて実践研究に取り組んできました。今回の公開授業では、その取組が着実に実を結びつつあることを、生徒と先生のそれぞれの姿から随所に感じ取ることができました。
 「さあ、始めましょう」という先生の短い掛け声で授業は始まりました。黒板には、「①個人で」「②風車型で」「③振り返り」と端的に授業の流れが示されているだけですが、日常的に取り組んでいるグループ対話活動であるため、生徒は手慣れた様子でタブレットに向き合っています。後ろから画面を見ると、一人ひとりが目的をもってタブレットで情報を検索しています。「では、風車型にしましょう」という先生の次の掛け声とともに、今度は机を風車型に並び替えて生徒たちの交流が始まります。「円安がどうのとか、よく聞くよね」「それさ、一体何なのか正直分からないよね」「それって、ロシアのこととか関係しているみたいよ」お互いのタブレットを見せ合いながら、話し合いがスムーズに進んでいきます。学びたいことを自分たちで調べ、自分たちで考えを深めていくということが自然とできている様子を、教室のあちらこちらで見ることができました。

机を風車型に並び替えての交流

↑机を風車型に並び替えての交流

 このような主体的な学びが定着している背景には、学び方改革をICT活用に留まらない、生徒の自主自立に向けた指導方法への転換、という認識を校内で広く共有し、先生方が一丸となって取り組んでいることが挙げられます。また、八幡中学校では以前からあらゆる場面で「何でも生徒に決めさせる」ことに取り組んできたそうですが、ICTの導入は生徒の自主的な取組をさらに加速させる契機になったとのことです。生徒たちは自分たちのアイデアを実現させるために、ICTを思う存分に活用し、様々な学校改革に自主的に取り組んでいます。こうした積み重ねを通じて、先生方が目指す生徒たちの学びの姿勢が自然と全校に広がり、そして定着しつつあることを、一つの授業から実感することができました。
 今回、公開された「共通テーマについてタブレットで検索し、自分の考えをもち、グループ対話活動により考えを広げたり深めたりする」授業では、生徒を信じて生徒の自主性に委ねることで、ICTの活用とも相まって、生徒たちが自分なりに力を発揮し、仲間とも関わりながら自らの可能性を伸ばしていくことができる、大きな提案性のある実践でした。授業公開に参加された他校の先生方を通じて、このような主体的な学びが広がっていくことが期待されます。