採点支援システムと思考・判断・表現力テストの導入による生徒の学び方改革
採点支援システム:リアテンダント
【採点支援システム】
八幡中学校では、昨年度より採点支援システム「リアテンダント(大日本印刷株式会社)」を導入し、テスト採点業務の効率化を図っています。採点支援システムは、生徒の解答用紙をスキャンしてPC画面上で採点するもので、同一問題を一度に画面に並べて採点できるため、採点に要する時間が大幅に短縮され、先生方の働き方改革につながることが期待されています。
先生方は「新しいものをどんどん取り入れよう」という意識があり、リアテンダントも昨年度の導入時から積極的に活用されてきました。そして本年度は、全教科の定期テストに使用されるまでになりました。一部の教科では、小テストにも活用している先生がいます。点数の計算が早くできることや、子ども達の分野別の習熟度や個々の苦手な問題の分析も、これまでの手作業による採点と比べるとより詳しくできるため、「慣れてしまったら、採点が早く終わるだけでなく、なにかと便利ですよ」という声が先生方から聞かれました。
↑リアテンダントを用いた採点の画面
思考・判断・表現力テスト
【思考・判断・表現力テスト】
昨年度から、学期の半ばに行っていた中間テストを「思考・判断・表現力テスト」に切り替えました。「思考・判断・表現力テスト」とは、思考力・判断力・表現力を測ることに特化したテストです。現在は五教科で実施し、100点満点のテストではなく、S,A,B,C,Dの5段階で評価しています。問題の作り方はまだまだ手探りの部分がありますが、例えば数学の場合では「できるだけたくさんの方法でこの問題を解きなさい」といった定期テストとは異なる設問が出題されています。
こうしたテストの採点は、従来型のテストに比べて難しくはなりますが、テスト時間は各教科30分と短縮し問題数を少なくしていることや、中間テストの置き換えで実施していることから、先生方には採点の負担が増えたという感覚は少ないそうです。この思考・判断・表現力テストが導入されて以来、授業で自分の考えを抵抗なく発言することができる生徒が徐々に増えてきたように感じられるとのことでした。
また先日、データ駆動型教育(テスト分析データの活用方法や指導方法)について研修が行われました。研修では、「思考・判断・表現力テスト」の結果も関連付けながら講義が行われ、先生方はデータの見方から授業改善の考え方までを理解され、授業改善へのモチベーションに繋げておられました。
八幡中学校では、テスト採点業務の軽減をゴールとするのではなく、このことを契機として、「思考・判断・表現力テスト」という生徒の主体性を伸ばすテストへの転換や、デジタル採点により集計されるデータ分析結果の活用を進めています。今後、採点支援システムを導入する他の学校において、同校の学び方改革の取組は個別最適な学びに向けたひとつのヒントになるのではないでしょうか。