砂田橋小学校におけるプロジェクト型学習(PBL)の取り組み
矢田小学校で始まったPBLの取り組みが、隣の学区に位置する砂田橋小学校にも広がりました。同じ矢田中学校に進学する両校が自分たちの地域や学校にあったモデルをつくろうとしています。砂田橋小学校の先生方に、現在の取り組みの様子を取材させていただきました。
Q今年度から新たにPBLに取り組まれています。どのように進めてきましたか、またどのように感じていますか。
●校長先生
昨年度、教育委員会から「矢田小学校が取り組むPBLを砂田橋小学校でも取り組んでみませんか?」と話が入った時には、「せっかくの機会なのだから前向きにとらえて、子どもたちに還元できるものにしよう」「『失敗』は無いのだから自分たちなりの取り組みをしよう」と先生方に伝えました。研究テーマを「自分で考え、やってみよう!」というシンプルで分かりやすいものにしましたが、これは、子どもたちにも先生にも言えること。力を必要以上に入れることなく取り組もうというメッセージも込めています。スタート時期は2学期からとし、それまでに矢田小学校の先生に教えていただきながら各学年の取り組み方を固めることにしました。
実際に始めてみると子どもたちが柔軟に対応できているのに対して、「どうやって進めればいいのだろう」「どんな力をつけることができるのだろう」と思い悩み、不安を感じている先生もいました。それでも同僚や矢田小学校の先生、日本PBL研究所の事業者の方にアドバイスをいただきながら、各先生が日々試行錯誤を重ねて、少しずつ成長しているのを感じています。
●特別支援学級の先生
矢田小学校さんは4年目の取り組みということで、参考にさせていただくことが多くあります。「わくわくすること」という矢田小学校さんのキーワードをもらって取り組んでいます。
「好きが見つけられるように」「選ぶことができるように」をテーマに取り組む中で「子どもたちが意外とできるぞ!」という発見があったことが素直な驚きです。これまでは自立に向けたトレーニングが主だったのですが、子どもに発見させる機会を意図的に増やしたことで、子どもたちの「できる」が増え、指導に広がりが生まれました。
●2年生の先生
生活科の学習の中でPBLに取り組んでいます。学習を進める中で、子どもたちの力や可能性の大きさに驚かされることが多くあります。
「おもちゃづくりを工夫しよう」では、身近な材料を使って作られたおもちゃの例を見せると、作り方を紹介した映像や説明書を参考にしたり、友達と相談したりして試行錯誤しながら、私たちの想像を超えるものを作り上げますし、今まで以上に子どもたちの喜びの声が聞こえてくるようになったと感じています。子どもたちは楽しそうに取り組んでいますし、私自身もPBLの学びを積み重ねているなと感じています。
●4年生の先生
今年度は「地球温暖化のためにできることは」をテーマに取り組んでいます。矢田小学校の実践を参考にPBLを進めています。西区公害対策室さんや名古屋市の環境学習ガイドさんなどの力を借りて、合わせて3回の出前授業を行っていただきました。
自分自身が初めてなので見通しが持てないことや、取り組んでいるテーマが難しく、子どもたちから出る疑問に対するアドバイスがうまくできずに不安を感じることがあります。でも、子どもたちが考えに行き詰った時にどんな行動をするのか、これからどのように課題と向き合っていくのかが不安でもあり、楽しみでもあります。
●6年生の先生
「名古屋の魅力を発見する」ことに取り組んでいます。インターネットで調べられることは本当の魅力では無いので実際に自分で足を運ぶ分散学習を12月に計画しています。訪問箇所は10か所以上になっていますので、今後はどうやって外部の協力者と連携を取るかが問題で、どうなるかドキドキしている状態です。今年度は初年度なのでどこまできるかをしっかり検証したいです。