令和4年度第1回目の公開授業を行いました
お互いの距離を縮めるタブレットの有効活用
授業が始まるとともにグループでの交流がスタート。この時間は探究学習へとつながる「朝の自主学習(チャレンジタイム)の内容」の交流でした。各グループでファシリテーターを務める生徒がマニュアルを片手に、少し緊張した様子で司会進行をしています。中学校に入学してまだ2か月ほどの1年生ですが、生徒の表情からは、慣れない学習スタイルに戸惑うよりも、むしろ楽しんでいる様子がうかがえます。
タブレットを見せて話すだけでなく、身振り手振りを交えながら熱心に説明する姿。そしてその説明を聞いて、「すごい!」「そうなんだ!」と仲間の取り組みや頑張りに対して素直で肯定的な声があちこちから起こります。仲間の説明を聞いて分からないことは、その場ですぐに検索して、見つけたことはタブレットで見比べ合います。無駄な時間の無い学びの姿が自然発生的に生まれています。
気が付くと、先生が事前に準備した進行マニュアルは途中からどのグループも活用していません。先生の予測をはるかに超えるスピードで、生徒は自分たちで学びを進めていました。
タブレットを活用して学ぶ力をすでに身に付け始めている1年生。この生徒たちが、これからの前津中3年間の学校生活の中でさらにどんな姿に成長していくのか、楽しみでなりません。
生徒の学びを支える先生のコーチング
3年生の授業は作成したキャリアシートを共有して、自分が考えている進路選択やその実現に向けての取り組み方について話し合う授業でした。タブレットの活用も、さすが3年生とあってスムーズです。グループ内では、互いに身を乗り出すように話を聞きあい、笑顔が自然に広がり、質問のやり取りが広がっていきます。「笑顔あふれるTEAM前津~自ら考え 自ら学び 自ら行動~」が授業の中で生徒の姿にぎゅっと凝縮されています。
盛り上がって話しているグループを覗き込みながら声を掛けていく担任の先生。生徒たちはその言葉から気付きを得て、グループの中で次なる話題が生まれます。
また、担任の先生が常に生徒の目線に合わせて生徒の輪の中に入っていく様子も見逃せません。そして新たな話題が始まると生徒と一緒になって「なるほど」「そうだね」という言葉を投げ掛け、頃合いを見計らって輪から離れていきます。
この時間に向け、自分の進路選択について向き合い、悩みや不安が生まれたことでしょう。「自分はまだ人に話せるほど考えていない…」「恥ずかしいから発表したくないな」積極的に話し合いに参加しながらも戸惑う生徒もいたはずです。そのような生徒たちの気持ちに寄り添い、生徒たちの手に常に主導権を委ね続けるコーチングのスタイルが徹底されているからこそ、安心感あふれる学びの時間が広がっているのだと感じさせられました。
学びの柱となるキャリア学習
研究協議はマッチングプロジェクトによって改修されたスペースで行われました。生徒の主体的な活動を支援するための柔軟性のあるこの空間は、机や椅子のレイアウトも自由に変えられ、普段から様々な活動の場として、また休み時間のリラックスできるスペースとして活用されています。
先生方による研究協議ではグループごとに積極的な意見交換が行われました。質疑応答の際には、前津中学校が取り組む生徒主体の学びの進め方を中心にたくさんの質問が投げかけられました。その質問一つ一つに対して、前津中学校の先生方は、自分のこれまでの実践の具体や生徒の変容を基に自信をもって説明をされました。
その協議の様子を会場の一番後ろで小さく頷きながら聞き入っていたのは、前津中学校に常駐されるキャリアサポーターさんです。前津中学校では地域社会をフィールドとする探究学習が生徒の主体的な学びを引き出す柱として位置づけられており、キャリアサポーターさんはそのキーマン的存在です。先生方とキャリアサポーターさんがしっかりとした信頼関係を構築し、前津中学校の探究学習を支えています。
前津中学校では3学年合同のチームで年間を通して探究学習に取り組んでいます。今年もこれから地域に飛び出し、地域の企業・団体の方々と地域の社会課題と向き合っていきます。今日の発表で見ることができた、生徒が自分たちで学びを進めていく力は、その活動の中でいかんなく発揮されることでしょう。