第3回ナゴヤ・オープン・キャンパスを開催しました
2月10日に第3回ナゴヤ・オープン・キャンパスが、名古屋市教育館で開催されました。この日は京都市立堀川高校で校長をされた後に、小中高校の教員出身者として初めて中教審の会長を務める荒瀬克己先生(独立行政法人教職員支援機構)、小学校の理科教員をされた後に文科省の教育課程教科調査官を経て、現在は福島大学で主に小学校理科教育について研究をされている鳴川哲也先生(福島大学人間発達文化学類 准教授)をお招きして学習会が開催されました。名古屋市内外から参加した方で会場は満席となりました。
背伸びが人を育てる 「探究」というひとつの仕掛けについて<荒瀬克己先生>
「子どもは有能な学び手。その力を引き出す妙案はなかなか見つかりませんが、手掛かりは子どもの中にあるはずです。ご一緒に考えたいと思います」という荒瀬先生の投げ掛けから学習会は始まりました。高等学校学習指導要領の総合的な探究の時間編の解説や、新科目として設置された背景などの解説から始まり、堀川高校での荒瀬先生自身の指導経験も踏まえ、探究的な学びをどのように捉え指導するのかを分かりやすくお話をしていただきました。堀川高校では『すべては君の「知りたい」から始まる。背伸びが人を育てる』と生徒に投げ掛けて探究的な学びに取り組まれてきたそうです。主体的・対話的で深い学びを通して「自律した学習者」を育むことが探究的な学びの目指す姿であり、生涯幸福に生きていくための学びであるとお話されました。また、児童や生徒の学びを促し気付かせるという「仕掛け」こそが大事で、本当に子どもが試行錯誤できているのかという教師自身への問いかけが「どんな学校をどう作っていくか」という学校づくりの醍醐味につながっていくということをご示唆いただきました。
聴講された先生の感想
探究的な学びに取り組む際には、子どもと対話し、一緒に答えを探すなど、子どもたちと向き合いながら進めていくことの大切さを改めて感じました。高等学校では、総合的な探究の時間だけではなく、最近では多くの先生方が試行錯誤をされながら教科学習でも問いを大切にしているという話を聞くことが増えた気がします。手応えを感じている先生方も多いのではないかと思っています。荒瀬先生から定時制や専門学科で行われている探究の具体をはじめ、どんな学校でもできるんだというお話や、教科の指導へのヒントをたくさん聞くことができ、参加して本当に良かったと思っています。
理科授業を形づくるもの<鳴川哲也先生>
教科調査官を六年間務められた経験も踏まえて、旧学習指導要領と新学習指導要領との違いをいかに読み解き指導に反映させていくのかを、小学校理科の授業づくりの具体例を交えながら分かりやすくお話をいただきました。小学校理科において現行の学習指導要領では重要なキーワードは「資質・能力」「見方・考え方」「主体的・対話的で深い学び」であり、それぞれがつながる学びのサイクルの構築が求められています。鳴川先生は、その中でも資質能力の三つの柱として整備された「知識及び技能が習得されること」「思考力、判断力、表現力が育成されること」「学びに向かう力、人間性が涵養されること」を中心に取り上げ、分かりやすく解説していただきました。また、自然や事物・現象をどのような視点で捉えるかという見方や、どのような考え方で思考していくかという考え方とはどういうことなのか、具体的な事例を基に教えていただきました。
聴講された先生の感想
教師の学ばせたいことを無理に当てはめるのではなく、子どもが自然の事物・現象をどのように見ているかがものすごく大事で、子どもの見方や考え方に寄り添うことの大切さを改めて感じました。学校で学ぶより先に塾で実験結果を知っていて、子どもが自分なりの予想や考察ができないようなことがあり、そこをどうしようか、いつも悩んでいました。鳴川先生の話されていた「理科で味わう学びの幸福感」を普段から味わえるような授業づくりをすることで、子どもの能力を伸ばすことができると知ることができ、取り入れてみたいと思いました。